研究課題/領域番号 |
04151071
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
長尾 美奈子 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 部長 (40100151)
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研究分担者 |
榎本 平 神戸大学, 医学部, 助手 (00127622)
鈴木 文男 金沢大学, 薬学部, 助教授 (10019672)
丹羽 太貫 広島大学, 原医研, 教授 (80093293)
辻本 敦美 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 研究員 (70172012)
江角 浩安 国立がんセンター研究所, 生化学部, 部長 (70160364)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
1992年度: 14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
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キーワード | ヘテロサイクリックアミン / 肝がんp53変異 / 前胃腫瘍p53変異 / メチルコラントレン / 肉腫・c-myc増幅 / VEGF |
研究概要 |
ヒトがん誘発における食品中の発がん物質ヘテロサイクリックアミンの関与を追求する目的で、これらの化合物で誘発された実験動物がんにおけるrasおよびp53遺伝子変異のパターンを解析した。MeIQx誘発ラット肝増殖性結節13例、肝がん13例および胆肝5例、計31例についてP53変異を検討した。肝がんのうち、中分化および低分化型のものの75%(3/4)に変異が検出された。1例では異なるDNA鎖にそれぞれ異なった変異を有していた。4つの変異はG→Tであったが、コドンは全て異なっていた。MeIQ誘発マウス前胃腫瘍では、8例中7例にp53変異が検点された。6つの独立した遺伝子変異のうち4例でG→T、各1例ずつでG→A、C→Tが検出された。コドンは各々異なっていた。またこれらの腫瘍4例ではHa-rasに変異があり、そのうち1例の乳頭腫では、Ha-ras、p53変異と正常alleleの欠失がみられた。これら遺伝子変異が扁平上皮発がんの初期変化である可能性が示唆された。MeIQXやIQはグアニン塩基と共有結合することが明らかにされている。rasおよびp53遺伝子変位の殆どはグアニン塩基に起っていること、p53の変異コドンに特異性はないことが示唆された。ヘテロサイクリックアミンのリスク評価には、p53変異パターンは手がかりにならないと思われる。 メチルコラントレン誘発マウス肉腫では35%にc-mycの増幅がみられた。増幅があるものは少数の細胞で移殖が成立した。また増幅のあったもののうち76%で正常alleleの欠失が認められた。c-mycの増幅の機構正常alleleの欠失の生物学的意義については今後の問題として残された。Balb/C3T3細胞のTPA耐性変異株は、v-srcの導入により50〜100倍の頻度で肺転移する。VEGF刺激で正常細胞は160KDa蛋白質のリン酸化が誘導されるが、TPA耐性株ではリン酸化されない。VEGF受容体であるflt細胞悪性化における機能と役割を解析する手がかりを得た。
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