研究課題/領域番号 |
04152055
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 邦弘 名古屋大学, 理学部 (70116375)
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研究分担者 |
入江 賢児 名古屋大学, 理学部, 助手 (90232628)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1992年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 酵母 / 増殖制御 / シグナル伝達 |
研究概要 |
本究研では、高等動物細胞における細胞増殖制御機構を明らかにする目的で、酵母をモデル系として、サイクリン/CDC2キナーゼによる細胞周期制御機構について解析を行ない以下の成果を得た。サイクリン/CDC2キナーゼによる細胞周期の調節機構は、酵母からヒトに至るまで保存されていることが明らかになってきた。我々は昨年、酵母のG1-サイクリンの活性を制御する因子としてSGV1キナーゼを同定したが、酵母SGV1キナーゼは、CDC2キナーゼファミリーに属する。そこで、動物細胞においても酵母と同様なG1サイクリンの制御因子が存在するかを検討する目的で、酵母のSGV1キナーゼの機能に関与するヒト遺伝子の分離を行なった。HeLa細胞から作製したcDNAライブラリーをsgv1低温感受性変異株に導入し、低温での増殖を回復させる遺伝子として新しくヒトMSS1を分離した。MSS1は433アミノ酸からなり、その配列はHIV-1 Tatと結合しTatの機能を抑制するヒトTB-Pと42%同一であった。そこで、MSS1がTatの機能に影響するかを、HIV-LTR-CATを用いたCATアッセイ法により解析した。その結果、未分化細胞P19において、MSS1がTatによる転写活性を6-10倍促進することが明らかになった。さらに、Jurkat細胞、HeLa細胞を用して結果から、endogenousなMSS1mRNAのレベルとTatによる転写活性のレベルとの間に、相関関係が見られた。一方、HTLV-taxによる転写活性に対しては、効果は見られなかった。以上の結果から、ヒトMSS1はHIV-1 Tatの機能を促進する細胞側の因子と考えられる。このように、酵母の系を利用して細胞周期及び増殖制御に働く動物細胞の遺伝子を単離に、それらの機能解析を行なうというアプローチは、非常に有効な手段である。
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