研究課題/領域番号 |
04152081
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
関 周司 岡山大学, 医学部, 教授 (50032884)
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研究分担者 |
秋山 公祐 岡山大学, 医学部, 助手 (30222540)
渡辺 晰子 岡山大学, 医学部, 助手 (30093719)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | DNA修復酵素 / X線損傷DNA / APエンドヌクレアーゼ / APEXヌクレアーゼ / cDNAクローニング / 除去修復酵素 / ヒト細胞 / ドメイン構造 |
研究概要 |
X線等放射線や活性酸素によって生じるDNAの一本鎖切断および多くの要因で生じるDNA塩基欠失部位(AP sites)の修復開始に関与すると推定される多機能DNA修復酵素(APEX nucleaseと命名;分子量35.4kDa)の性状を検討した。1.前年度クローニングしたヒト本酵素cDNAのタンパク質コード領域を挿入した発現プラスミドを構築し、これでexonuclease III(APEX nucleaseはこのexo IIIのホモローグ)欠損大腸菌株細胞を形質転換した。形成転換細胞は、親株細胞に比し、AP sitesを生じる薬剤および一本鎖切断を生じる薬剤に抵抗性を示し、本酵素が予想通りの生理活性を持つことを示した。2.本酵素一次構造のホモロジー比較から、核局在シグナルをもつ6kDaのN末領域とexo III等とホモロジーを示す29kDaのC末領域(活性ドメイン)から成ることが示唆された。本酵素精製の過程で、35kDa、33kDaおよび31kDaの活性な酵素断片が生じた。前2つの断片はsubtilisin様のプロテアーゼで、31kDaの断片は化学的機構でN末アミノ酸の一部が除かれて生じることが判明した。これらの結果は推定ドメイン構造を支持した。3.測定した全ての細胞に本酵素は存在しており、house keeping enzymeと考えられた。X線照射や薬剤処理でHeLa細胞に本酵素の誘導を試みたが、誘導されなかった。4.ヒトの白血球ゲノムライブラリーから本酵素遺伝子をクローニングし、塩基配列をきめた。本遺伝子は、2.64kbで5つのエキソンから構成されていた。5.今後、発がんと本酵素との関係を研究するためにはアンチセンスRNAの発現により本酵素量を低下させたり、本酵素遺伝子を破壊してみる必要があると考えられた。また、本酵素が関与するDNA修復系を一体として研究するため、本酵素の次のステップに関与する酵素dRpaseも研究する必要があるとの結論を得た。現在これらの研究を開始している。
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