研究課題/領域番号 |
04152083
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
合田 栄一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (20028814)
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研究分担者 |
宮崎 正博 岡山大学, 医学部, 助教授 (90116509)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1992年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | ヒト肝細胞増殖因子 / ヒト肝がん細胞 / 増殖 / 腫瘍細胞障害因子 / ヒト皮膚線維芽細胞 |
研究概要 |
ヒト肝細胞増殖因子(hHGF)は初代培養ラット肝細胞の増殖促進因子として劇症肝炎患者血漿から精製された因子であるが、最近、ある種のがん細胞に対して増殖抑制作用を示す因子として見出されていた腫瘍細胞障害因子(TCF)と同一であることが明らかにされた。我々は分化型ヒト肝がん細胞の増殖に対してhHGFはどのような作用を示すかについて興味を持ち調べた。その結果、hHGFは成人型肝がん細胞株(HLE,HuH-7,PLC/PRF/5)の増殖には無影響であったが、肝芽腫細胞株のHuH-6Clone5の増殖を有意に促進し、逆にHepG2の増殖を抑制した。また胆管がん細胞株(HuH-28,HuCCT1)の増殖に対しては効果がなかった。いずれの細胞株の場合もhHGFを培地中に分泌しておらず、応答性の違いは内因性hHGFによるものではない。また、従来線維芽細胞はhHGFに株は応答しないといわれていたが、ヒト皮膚線維芽細胞の増殖は促進されることを見出した。今回の研究でhHGFに対して肝芽腫細胞株は応答するが成人型肝がん細胞は応答しないという興味ある結果が得られた。これが普遍的なことであるかについては両者の細胞数をさらに増やして調べる必要がある。また、応答性が認められた肝芽腫細胞株でも増殖促進と抑制に分かれた。hHGFにはこのような細胞増殖に対する相反する作用の他にmotogenやmorphogenとしての作用も見出されているが、現在のところこのような多様な生物作用を受容体の違いで説明することはできていない。すなわち、受容体としてはc-<met>___-の産物しか見つかっておらず、K_α値や細胞あたりの受容体数の違いも認められていない。おそらく受容体以降の細胞内情報伝達系に違いがあるものと考えられるので、今後はこの点について調べる必要があると思われる。hHGFは線維芽細胞によっても産生されるが、ヒト皮膚線維芽細胞の増殖がhHGFによってオートクリン的に促進されるか否かについてはさらに研究を要する。
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