研究課題/領域番号 |
04152095
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
池田 柊一 長崎大学, 医学部 (10128150)
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研究分担者 |
上平 憲 長崎大学, 医学部, 講師 (80108290)
雨森 龍彦 長崎大学, 医学部, 助手 (80167965)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ATL / pre-ATL / HTLV-I / HCMPT |
研究概要 |
HTLV-IキャリアのATL発症過程を明らかにするためにHTLV-I感染細胞が単クローン性に増殖していながら臨床症状を有しない症例50例を集積し、その経過を追跡調査した。50例中13例がATLを発症し、9例が死亡した。初診時の白血球数、リンパ球数、異常リンパ球数などの比較検討の結果、白血球数が正常範囲か増加しているかによって、これら症例を二群に分けることができた。増加群は20例、正常群は30例であり、ATL発症はそれぞれ10例(50%)、3例(10%)であった(p<3.01)。また生存曲線でも両群間に有意差を認めた(p<0.05)。観察期間中央値50カ月における両群の生存率はそれぞれ65%、90%であった。また、両群の発見時年齢には差はなかった。一方、急性型やリンパ腫型、慢性型のATLの発症年齢も同じであった。これらの結果からHTLV-Iの単クローン性増殖を有する症例の中には白血球数増加群にみられたように、ATL移行率の高いグループと、正常群のように5年経過しても全く無症状のグループとの二群が存在することが分かった。増加群は真のpreleukemin stateと考えられるが、あるいはchronic ATLの一種としてもよい。白血球正常群はHTLV-I carrier with monoclonal proliferation of T-1ymphocyte(HCMPT)とし独立した病態と考えた。現在までの観察結果からは、キャリアからATLを発症する過程でHCMPTを経過していくとはいえない。 したがって、発がんの多段階説に合わせれば、臨床レベルでの観察では、われわれのHCMPTはすでに発がんステップの最終段階に達した状態という事ができ、少なくともATL発症の前段階ではないと思われた。
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