研究課題/領域番号 |
04152100
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
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研究分担者 |
小嶋 祐一郎 熊本大学, 医学部, 助手 (50215258)
今野 俊光 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60117348)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1992年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 高分子制癌剤 / 腫瘍選択性 / ターゲッティング / スマンクス / 昇圧化学療法 / EPR効果 / 効果増強 / 骨髄毒性 |
研究概要 |
(1)[ ^3H]メチルグルコース、[ ^<51>Cr]-アルブミンおよびスマンクスの昇圧下のWalker 256 Carcinomaへの集積性:低分子のメチルグルコースは昇圧下(100→150mmHg)において腫瘍集積性は15および20分でのみ20〜25%集積性は高くなった。しかし、その値は1〜6時間後には全く増加はみられなかった。これに対し、ウシアルブミンおよびスマンクスは1および6時間後の正常血圧群よりも21〜80%の増加があったが、特に注目すべきは、高分子制癌剤は正常下においても腫瘍集積は1時間目から6時間にかけてスマンクスで3〜4倍の集積性の亢進[Enhanced permeability and retention(EPR)効果による]があることがわかった。さらに、骨髄、小腸などの正常組織では昇圧下での高分子薬物の集積性が20-40%低下したことである。つまり、高分子の薬物濃度の腫瘍/正常比がアンジオテンシンII昇圧下ではネットとして2〜3倍のターゲッティングのゲインがあることである。 (2)昇圧下における高分子薬剤の毒性の低下:以上の事実を裏付けるためには、同一投与量(LD_<50>)において昇圧群の毒性が減少せねばならない。体重減少、血小板減少、白血球減少、下痢症の4つのパラメータでみると、昇圧群において圧倒的に有意(<0.001〜0.02)に毒性が減じていた。また、肝機能検査および骨髄像からもこのことを裏付けた。 (3)油剤化制癌剤の腹腔内(ip)投与時の徐放化について:担癌(AH130)ラットにリピオドールに可溶化した[ ^<14>C]-アドリアマイシンと水溶性のアドリアマイシンをip投与したときの血中への移行と腹腔内停滞徐放能で検討したところ、油剤からは血中への移行が数時間〜12時間にわたり、極めて徐やかに進行し、その結果極めて低濃度しか検出されなかったが、水溶性のアドリアマイシンip投与時の血中への移行は数分後にピーク値となり、急速に減じ、腹腔内濃度はすみやかに減少し短時間しか維持できず、油剤のような持続的徐放はみられなかった。抗腫瘍効果においても薬理動態を裏付ける成果、つまり、油剤化アドリアマイシンの方が両腔水癌に対して圧倒的に優れた抗腫瘍効果を示した。さらに、スマンクスを同様のip投与を行って検討したところ、油性のアドリアマイシンと同様に腹腔内濃度は長時間にわたり高濃度を維持しうることがわかった。これは、油剤や高分子のスマンクスが低分子のような血管を介した血行性の回収にのらないためと考えられた。
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