研究課題/領域番号 |
04152112
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
古川 雄祐 自治医科大学, 医学部, 講師 (00199431)
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研究分担者 |
大田 雅嗣 自治医科大学, 医学部, 講師 (90160514)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 細胞周期 / リン酸化 |
研究概要 |
TGF-βは広く細胞増殖の抑制に関与している因子であるが、血液系においても負の調節因子として重要な働きをしている。TGF-βは細胞増殖をG1後期で停止させるが、実際の作用機序については不明の点が多い。最近の研究から、細胞のG1/S移行にRB遺伝子産物(Rb)が重要な働きをしていることが明らかになっている。我々は、血液細胞においてもS期移行にはG1後期におけるRbリン酸化が必須で、非リン酸化Rbが増殖抑制に関しactiveformであることを報告してきた。今回、RbがTGF-βのeffectormoleculeである可能性をもとに、TGF-β感受性白血病細胞株JOSK-Iを用いて検討を行い、以下の結果を得た。(1)TGF-β作用後72時間以内ではc-myc、RB、cdc2のmRNA量は変動を受けなかった。96時間でc-mycの有意の低下が観察されたが、増殖抑制の結果と考えられた。(2)TGF-β作用後約18時間からRb蛋白の脱リン酸化が観察された。TPAによっても同様の変化がみられるが、約72時間後と時間的にやや遅く増殖抑制の結果と思われた。(3)Rbリン酸化酵素の一つであるcdc2の蛋白レベルの変動は観察されなかったが、histonH1を基質とした時のリン酸化活性はTGF-βにより抑制された。以下より、TGF-βによる血液細胞の増殖抑制の機序の一つとして、G1後期にRb蛋白を脱リン酸化することが考えられた。脱リン酸化の機序としてRbキナーゼの一つであるcdc2関連酵素の活性抑制が確認されたが、他のリン酸化酵素やphosphataseについての検討も必要と考えられる。また現在、JOSK-I細胞を用いてTGF-βにより特異的に誘導される遺伝子の単離およびそのRbリン酸化系との関連につき検討を行っている。
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