研究課題/領域番号 |
04152129
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
中村 祐輔 癌研究会, 癌研究所・生化学部, 部長 (70217909)
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研究分担者 |
谷上 信 癌研究会癌研究所, 生化学部, 研究員 (60227212)
山川 和弘 癌研究会癌研究所, 生化学部, 研究員 (30241235)
堀井 明 癌研究会癌研究所, 生化学部, 研究員 (40249983)
佐藤 孝明 癌研究会癌研究所, 生化学部, 研究員 (30225958)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1992年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 家族性大腸腺腫症 / APC遺伝子 / 発症前診断 / リンパ節転移 / 遺伝性乳癌遺伝子 / 胃癌 |
研究概要 |
遺伝性大腸癌の1種であり、数千ものポリープが生じ大腸癌が多発する家族性大腸ポリポーシス症(FAP)の原因遺伝子(APC遺伝子)を昨年度単離した。この2843アミノ酸からなる蛋白の金翻訳領域について150例のFAP患者における異常を検索し、97例についてのAPC遺伝子の変異を明らかにした。6例のミスセンス変異を除く91例は蛋白の合成を中断する変異であり、このうち3分の2は塩基の挿入・欠失によるフレイムシフトによって起こっていた。この情報をもとに100%確実な発症前診断法を確立した。これによって、正常と診断された人は、頻回に検査を受ける必要がなくなるだけでなく、病気になるのではとの不安から解放されるようになった。また、不幸にして異常遺伝子を受け継ぎ、将来、発症すると診断された人でも、リスクを知ることによって確実に早期発見・治療を行うことによって、患者を癌死から救うことにつながるものと期待される。さらに、APC遺伝子が一般に見られる散発性の大腸のポリープや癌においても高頻度に異常を起こしていることを明らかにし、この遺伝子の異常が大腸癌発生の非常に初期の段階で重要な役割を果たしていることを明らかにした。他の癌におけるAPC遺伝子の関与の有無を調べるため、胃癌・肺癌・肝癌・腎癌・膵癌における異常を検索したところ、肺癌・肝癌・腎癌・では異常は検出されなかったが、腸上皮化生を伴う胃癌や膵癌においては変異を起こしていることが明かとなり、APC遺伝子の異常が消化管の腺癌に共通したものであることが示唆された。乳癌に関しては、多数の乳癌症例における染色体欠失を詳細に調べることによって第11染色体の短腕と第17染色体の短腕の欠失が乳癌のリンパ節転移に強く相関していることを明らかにするとともに、第17染色体長腕に存在している遺伝性乳癌の原因遺伝子を約2、000kbの領域にまで限局することができた。
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