研究課題/領域番号 |
04152146
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
松影 昭夫 愛知県がんセンター, 生物学部, 部長 (90019571)
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研究分担者 |
中洲 章 愛知県がんセンター, 分子生物学部, 研究員 (50198107)
廣瀬 富美子 愛知県がんセンター, 生物学部, 研究員 (60208882)
山口 政光 愛知県がんセンター, 生物学部, 主任研究員 (00182460)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1992年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / マウス / DNA複製遺伝子 / DNA修復遺伝子 / 発現調節 / p53 / ホメオボックス遺伝子 |
研究概要 |
本年度は以下の2点で研究の主要な進展があった。 (1)ショウジョウバエのDNA複製酵素であるDNAポリメラーゼ(以下pol)αの遺伝子とpolδの促進因子であるPCNAの遺伝子のプロモーターを活性化する共通の配列DREと特異的な結合因子DREFを見いだしたことは昨年報告した。DREFをほぼ均一に精製することに成功し、この因子が,86kDaのポリペプチドの2量体よりなることを証明した。また、精製したDREFが結合する配列がDRE内の8bpのパリンドローム配列であることを、確認した。両遺伝子のプロモーター活性はホメオドメインタンパク質の一つであるzerknullt(zen)によって抑制されるが、この抑制がDREF活性の低下によってもたらされることを見いだした。zen遺伝子の発現は、relがん遺伝子のショウジョウバエホモログであるdorsalによって抑制されることが知られており、この結果はがん遺伝子が分化を抑制すると同時に複製関連遺伝子発現を誘導する機構にせまるものである。 (2)マウスの複製関連遺伝子であるPCNA遺伝子と修復遺伝子であるpolβ遺伝子遺伝子の発現調節機構にたいするアデノウイルスE1Aおよびp53の影響を調べた。両遺伝子のプロモーター活性ともE1Aで促進されるが、その標的配列はpolβ遺伝子ではプロモーター内にあるATF/CREB結合配列であるのに対し、PCNA遺伝子ではATF/CREB配列とB2F結合配列の2つであることがわかった。一方、野性型p53はPCNA遺伝子プロモーターを抑制するがpolβ遺伝子プロモーターは抑制しないことを見いだした。後者には、p53の抑制を排除する配列が存在することを証明した。これらの結果は、p53の機能が、DNA損傷の際に複製を抑制し、損傷が修復されるのを待つためのゲノム監視機構であるとの仮説に適合するので興味ぶかい。
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