研究概要 |
我々の作成した4種のリン酸化中間径フィラメント蛋白質特異抗体で,培養がん細胞を染色し,がん細胞増殖や形態異常に伴って生じる中間径フィラメントの構築変化に果たすリン酸化反応の役割を可視化して解析し以下の知見を得た。1).本年度の研究により,in vivo中間径フィラメントキナーゼの1つとしてcdc2キナーゼを同定したとともに,cdc2キナーゼの簡易大量精製法を確立した。2).精製cdc2キナーゼを用いて中間径フィラメント蛋白質ビメンチン,デスミン,グリア酸性蛋白質の機能に果たすcdc2キナーゼの役割を明らかにするとともにその機能リン酸化部位を同定した。3).同定したフィラメント蛋白質のリン酸化部位解析結果に基づいて種々の合成ペプチドを作製し,cdc2キナーゼの基質認識性について検討を加えた。cdc2キナーゼは1次構造上S/TPXR,S/T〓,S/TXXRをとるアミノ酸配列中のセリン残基またはスレオニン残基をリン酸化する。4).cdc2キナーゼはp34^<cdc2>とp62サイクリンとのcomplexよりなる。このcomplexに強く結合することが知られている蛋白質にp13^<suc1>蛋白質があるが,この蛋白質のcdc2キナーゼ活性に与える影響については不明のままとなってきた。本年度の研究で,我々はp13^<suc1>蛋白質が,cdc2キナーゼに結合すると,cdc2キナーゼの中間径フィラメントキナーゼとしての活性が特異的に著しく阻害されることを明らかにした。
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