研究概要 |
1983年日本海中部地震発生後、高精度なSeismic Microzonation研究をめざして250mメッシュデータを基本として高密度震度,経験式からの最大加速度・速度,地盤地震応答レスポンス,微動による地盤振動,微地形・表層地質,ボーリングデータ,表層S波速度,理地震波増幅度,被害データ,地下水位などが殆くどコンピュータファイルされた。これらを利用して、これら多種項目を総合的に重合(オーバーレイ)して、地盤に関する地震危険度算出を高精度化ならしめる方法の検討を目的とした。そのためには重合方法の検討に主眼をおき、夛変量解析の主成分分析によって、項目間の相関関係を定量的に把握して地震被害に影響を与える項目の順位づけも検討した。最初の段階から全項目のついての分析はおこなわないで、実際の地震によるデータとして250mメッシュ高密度震度を中心として段階的に項目を増やしながら主成分分析を行った。まず、高密度震度とボーリングデータ(沖積層の厚さ,N値が50の深さ),微地形,表層地質との間ではほぼ2つの主成分からなっており、第1主成分はこれらの項目が正の相関として関連し合っていることを示した。さらに、項目として、S波速度推定実験式とボーリングデータにより地下構造からの理論地震波増幅度をつけ加えて同様の主成分分析を行った。この場合、項目が増えたため重相関係数は減少し、主成分の数も累積相関係数から判断して3〜4の主成分から成っていることが示された。尚、理論地震波増幅度計算にあたっては基盤設定が重要であり、この意味でボーリング費を計上し実施し、基盤は新第三系とした。さらに、微動による地盤振動のデータを補充すべく3ch.増幅器を購入し、測定データを増やして主成分分析を行ったが、ピーク値パワー,卓越周期等との相関は必らずしも明瞭でなく、その原因等の解明が今後の課題となった。
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