研究概要 |
わが国は温帯南部にあるにも拘らず世界的な多雪国家である。それは、シベリアからの寒気が日本海上で熱と水蒸気を供給され,脊梁山脈を越える時に水蒸気が凝結するためである。しかし,降雪は日本列島に一様に見られるわけではない。寒気によって発達する雪雲の高さが低いので,雪雲は地形の影響を受けやすく,降雪は局地性が非常に強くなっている。本研究では,降雪観測やデータ解析によって,日本の主要な豪雪地帯について降雪に対する地形の影響を詳細に調ベた。このうち観測による研究は現在進行中であるので,ここでは気象データの解析によって得られた結果を報告する。 (1)青森市の降雪は、気温が低く気温の鉛直勾配が大きい時に降雪量が多い。また、降雪量が増大するにつれて風のルートが一定方向に定まり、青森平野上空で風が収束するようになる。 (2)津軽平野では,北西風が吹き込む時にV字型の地形で風が収束するため,平野の中部や南部で局地的な大雪となる。 (3)石狩平野の内陸部でも,季節風が地形の作用によってV字型に吹き込む(収束する)時に,局地的な大雪となる。 (4)札幌市では弱い北西の季節風と石狩川を下る北東風が合流(収束)する時に,局地的に大雪となる。このタイプの降雪は,陸風が引金になっているので,深夜から早朝にかけての発生頻度が高い。 (5)新潟県の高田,長岡,十日町などでは,県の中部で弱い北西の節季風,南部で海岸沿いの南西風になった時に大雪となる。これも地形による風の収束が原因であると思われる。 (6)富山県の平野部では能登半島に吹き込む北西風と飛騨山脈に沿う南西風が合流した時に強い降雪が見られ,金沢では陸風(東風)と海上気団が沿岸部に局地前線を形成した時に,多量の降雪が見られる。
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