研究課題/領域番号 |
04201237
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
下川 悦郎 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60041670)
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研究分担者 |
小林 哲夫 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (70112430)
地頭薗 隆 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (50145455)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1992年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 火山噴火 / 桜島火山 / 雲仙普賢岳 / 細粒火砕物 / 流出 / 土砂災害 / 侵食 / 土石流 |
研究概要 |
本研究は、現在活動中の桜島を主要な対象地として、火山灰の被覆が水・土流出特性と水・土砂災害に及ぼす影響について検討したものである。また、1990年から火山活動を再開した雲仙普賢岳の土石流についても検討を行った。得られた結果を要約すると以下の通りである。 1.桜島山腹の火山灰に覆われた林地で表面流観測試験を行った結果、表面流発生の限界降雨強度は1.5〜2.0mm/10minと非常に小さい。現在の降下火山灰は表土の浸透能を低下させ、表面流の発生を助長している。 2.桜島においては、表層の浸透能低下のもとでシート・リル・ガリ侵食の表面流出に起因する侵食形態が卓越している。桜島北岳山体における侵食試験から算出した侵食速度は93mm/yearである。 3.桜島北岳山体における土石流観測結果によると、土石流の最小限界降雨条件は、先行累加雨量が10mmのとき10分間雨量で4〜5mm程度、同様に20mmのとき3〜4mm程度、30mmのとき2〜3mm程度と小さい値である。 4.桜島北岳山体の1渓流に超音波式水位計を設置し、土石流や土石流に至らない小規模な出水を連続的に観測した。1932年の土石流・出水による流出土砂量を計算すると侵食速度で110mm/yearであった。 5.雲仙普賢岳の土石流・雨量資料を解析した結果、土石流は20mm程度以上の先行雨量があれば1時間雨量7〜8mmの少ない雨量で発生する。 6.雲仙普賢岳における土石流は、火砕流の熱雲から生じた細粒火砕物に覆われた斜面を発生源として発生している。この斜面では激しいガリ侵食が起きており、多数のガリから集まった表面流が渓床渓岸を侵食する過程で土石流を誘発したものと考えられる。火砕流の本体堆積物上ではガリの発達は貧弱である。 7.雲仙普賢岳における浸透能試験結果によると、細粒火砕物に覆われた土壌の浸透能は噴火前のそれの約4分の1以下に激減している。
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