研究概要 |
有機塩素化合物の環境中での畜積がまず生ずるのは,それらを含む水が流入している池沼の底泥であると考えられる。本研究では,その底泥における有機塩素化合物の分解特性を把握し、有機塩素化合物の環境中での前動の単純モデルを提示して池沼での分解の役割や重要性を検討した。 ゴルフ場の最終調整池の底泥より抽出培養した混合微生物集団を対象に4-クロルフェノール(4-cp)および2,4-ジクロルフェノール(2,4-DCP)の分解特性を実験的に検討した。その結果、これらの化合物のみでも,4-CPでは1.1〜3.3mg/g MLSS・hrの,また2.4-DCPについては,0.22〜0.26mg/g MLSS・hrの除去速度で除去しうることがわかった。また,関与微生物を易分解性の有機物によって増殖・蓄積しうることもわかったが,その最大比増殖速度はグルコースで0.15 1/hrであった。 ある地域に平均的に有機塩素化合物が添加され,それらの一部は土壌中で抑留・分解され,一部は雨の流出により池に流入し,池で底泥の土粒子に吸着し分解するものと越流により公共用水域に流れ出す経路を想定した単純モデルを作成し,検討を行った。1g/m^2の負荷を与え,その翌日に30mm/日の降雨があるとして計算した結果では,池水中の濃度は0.1mg/l程度に上昇した後に徐々に減少すること,および30日で土壌と底泥中での蓄積はほとんど無くなることが示された。また同じ条件の負荷でも,散布後の雨が20日目であるときには,池水中の濃度は0.01mg/lまでしか上昇しないことなど,負荷後の降雨時期が池水中の濃度に大きく影響をすること,底泥での分解速度を0〜1 1/dayの間で変化させると減衰状態に大きく影響することなどが示された。
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