研究課題/領域番号 |
04202236
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石井 裕 大阪大学, 医学部, 助教授 (20028509)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 磁場 / ヒト精子 / 染色体構造異常 / 受精能 / ハムスター卵 / 体外受精 |
研究概要 |
磁場に曝露されたヒト精子の受精能の低下はみとめられないが、精子の染色体には異常がみとめられることも考えられる。本研究では磁場によってヒト精子の染色体に構造異常が誘発されるかどうかを検討した。 用手用法でえた精液より動きのよい精子を分離し、0.8Tの磁場に1時間曝露させた後、培養によって受精能獲得させる。一方、雌ハムスターより未受精卵を集め、トリプシン処理で透明帯を除去する。この透明帯除去ハムスター卵子に磁場に曝露させたヒト精子を媒精、ひきつづき培養する。紡錘糸形成阻害剤で受精卵を分裂中期にとどめ、固定し標本を作成する。こうして得た卵標本のうち分析可能なヒト精子由来の染色体像を有する卵は10%程度であり、まだ改良の余地のある技法である。 染色体構造異常を有する精子の頻度は非曝露群では約13%であった。これはヒトリンパ球の場合の5-10%に比べ高い頻度である。この原因が精子の特殊性、つまり減数分裂をするとか、修復酵素をもたないために傷害が蓄積し易いということに由来するのか、あるいはヒトとハムスターという異種間の受精によるものであるかは不明である。構造異常の内訳をみても、リンパ球の場合は欠失のような切断型が大部分をしめるのに比べ、精子の場合は半数近くを交換型がしめるといったように両者で差がみられる。磁場曝露群での染色体構造異常を有する精子の頻度は約16%であった。分析できた精子核板の数が少なく確定的なことはいえないが、ほぼ非曝露群と差がみとめられないといえそうである。なお、磁場の中では精子は配向性を示すといわれており、媒精中に磁場に曝露させると、曝露ずみの精子を媒精する場合と異なり受精能に影響が出るとも考えられた。磁場中でハムスター卵子にヒト精子を媒精させハムスター卵にみられる侵入精子の膨潤頭部を指標にしてみたところ、曝露、非曝露で差は全くみとめられなかった。
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