研究概要 |
生活排水を高度処理できる実証装置を松江市、久留米市、枚方市の各モデル家庭に設置した。この実証装置は多段土壌層法を応用したもので、黒ボク土壌やマサ土に金属鉄粒とジュートペレットを15〜25%添加して脱NとP活性を強化しながら、ゼオライト層と積層させることによって汚水の浸透能も改良されている。生活排水(BOD 100,FN50,F1010ppm程度)を1ton/5m^2/日程度の処理速度で浄化して、BOD 10ppm25下,FN 15ppm以下,FP1ppm以下の処理水を得ることが可能である。気温,生活排水の質によって浄化能が変化するが、適切な負荷量と通気を行うことによって浄化程度を管理することができる。目詰まりは交互使用方式によって対応する。 これまでの実証試験によって以下のようなことが明らかになった。(1)生活排水の負句は日変動が極めて大きいが、多段土壌層法による浄化装置はその負宇変動に十分対応できる。(2)通気が十分に行えばBOD浄化能は処理水で微ppm以下という性能を達成できる。しかし逆にFNとFPの液化能は装置内に浄化土壌層が好気手になりすぎるため、低下する。BOD,FN,FPを最も良く浄化できる適切な通気条件が存在する。(3)目詰まりは約1ケ年の使用で発生するが、1〜3ケ月の体止時間によって回復する可逆的なものであることがわかった。 以上のような実証試験をふまえ、本多段土壌層法を用いた生活排水処理装置が各種の野園施設に設備置し、性質を調査した。三瓶国立公園内のフィールドミュージアム内に設置された装置は夏期に集中する使用実態にもかかわらず、BOD,FN,FP浄化能ともすぐれた実積をあげている。 次年度以降には農村集落排水の高度処理装置、高速道路パーキングエリア内の生活排水の高度処理装置としての実証を行うことが決定している。
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