研究課題/領域番号 |
04203226
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
石原 達己 大分大学, 工学部, 助教授 (80184555)
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研究分担者 |
水原 由加子 大分大学, 工学部, 助手 (70229714)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 固体電解質型燃料電池 / 薄膜化 / 泳動電着法 / 高出力 / Y_2O_3安定化ZrO_2 / カソード電極材料 / 低温作動化 |
研究概要 |
現在、固体電解質型燃料電池(SOFC)の電解質しとて、主にY_2O_3で安定化されたZrO_2(YSZ)が用いられている。しかし、YSZの酸素イオン伝導性は高くないので、実用的な高出力のSOFCを得るには薄いながらも気密なYSZ薄膜を作製する必要がある。本研究では電解メッキの一種である泳動電着法を用い安価に、かつ簡便にYSZ膜を得る方法について検討した。まず、YSZサスペンジョンに用いる溶媒について検討としたところ、溶媒として微量のI_2を添加したアセチルアセトンを用いると、10V程度の低い印加電圧でも泳動電着が可能であり、クラックが入ることなく、焼結が行えることがわかった。泳動電着で得られたYSZ膜は膜厚が約1μm程度と極めて薄かったが、焼結後、粒界部にピンホールを生じており、SOFCに応用すると開回路起電力は0.8Vと低くなった。一方、3回以上の製膜一焼成をくり返すことで、膜の気密性が向上し、5回以上の製膜一焼成により、ほぼ理論起電力を示す気密なYSZ膜が得られた。得られたYSZ膜を用い、カソードにLa_<0.6>Sr_3を、またアノードに無電解Ptを用いて、SOFCを組み立て、H_2を燃料に、O_2を酸化剤として発電特性を検討したところ、最大電力密度1.8wlcm^2という極めて高い出力が得られた。また、電圧降下を生じる原因として、カソードと電解質界面の第2相の生成と考え、La欠損したLaabSr_<0.4>MnO_3をカソードしてSOFCを組み立て、発電特性を検討したところ、SOFCの最大出力密度はさらに向上し、1.9wlcm^2という、従来の報告値では最も高い出力のSOFCを得ることができた。一方、セルの低温作動を目的に新しいカソード酸化物電極について検討し、Pr_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3はLa_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3に比べ、低温でもはるかに少ない分極しか示さないことを見い出した。PrMnO_3系ペロブスカイトはLaMnO_3よりYSZとの熱膨張係数のマッチングも良好であり、泳動電着法で得たYSZ膜と組み合せることで、さらに高出力SOFCの開発が示唆された。
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