研究課題/領域番号 |
04205031
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中林 宣男 東京医科歯科大学, 医用器材県究所, 教授 (30014020)
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研究分担者 |
渡辺 昭彦 東医歯大, 医用器材研究所, 助手 (30126263)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 硬組織 / 機能性モノマー / 含浸層 / 重合 / 複合化 / 接着 / ハイドロキシアパタイト / 可視光線 |
研究概要 |
4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット無水物(4-META)や2-メタクリロイルオキシフェニルリン酸(Pheny-P)のような疎水基と親水基を合わせもつメタクリル酸示導体は、モノマーを歯質内に拡散させる機能があること、拡散したモノマーをそこで重合するとそこに歯質分子とポリマー分子が絡み合ったハイブリッド層(樹脂含浸層)が生成する。象牙質接着試料のパーコレーション試験の結果、象牙質のようにタンパク質で重要な構成要素をなしている被着体では、タンパク質の熱による変性の効果の方が大きく現われ、接着の安定性評価試験にならないことがわかった。ヒト生活歯を用いた接着試験は、事実上不可能である。そこで生活歯に、口腔内で接着剤を硬化させた後、抜歯し、そのまま超薄切された口腔内接着試料をTEM観察して樹脂含浸象牙質の性質を調べ、牛抜去歯での観察と比較した。生活歯の方がスメアー層を脱灰除去するときに脱灰される象牙質の厚さは薄く、ポリマーでカプセル化されHClで脱灰され難く変化したハイドロキシアパタイトの結晶と、ポリマーで包み込まれ電子染色され難く変化したコラーゲンが樹脂含浸象牙質(ハイブリッド層)の中に存在していることがわかった。すなわち抜去歯を生活歯のモデルとして利用した接着の研究には限界があると結論できよう。重合開始時期を選択できる光重合開始系を利用する方が、スメアー層の上から接着するには有利である。Phenyl-Pをトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)に溶かしたボンディング剤を研削したままの象牙質の上にのせ1分間放置後、可視光線を照射して重合させた上にコンポジットレジンをもり、光照射して硬化させたところ接着強さは6.7MPaあった。接着試料の縦断面をTEM観察したところ、ポリマーはスメアー層の中には生成しているが、スメアー層につながる健全象牙質には存在していなかった。この結果は、これまで象牙質への接着のは象牙質の上にある弱いスメアー層を脱灰除去してからでなくては不可能であるとの常識を覆す新しい知見である。
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