研究課題/領域番号 |
04205064
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野依 良治 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022554)
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研究分担者 |
北村 雅人 名古屋大学, 理学部, 助教授 (50169885)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1992年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 強誘電性液晶 / 光学活性アルコール / 触媒的不斉水素化 / BINAP / BINAP・ルテニウム錯体 |
研究概要 |
キラルスメクチックC相を有する強誘電性液晶分子(FLC)はキラルな単位分子の弱い相互作用に基づく高次組織化によって形成される。ターミナル部、コア部、キラル部からなる構成分子の電子的、立体的性質が自発分極、粘性、およびFLCのキラルなヘリックス構造に反映して、光学材料の応用開発の鍵となるスイッチ応答速度に強く影響する。FLCの設計および製作のための基盤となる、キラル部の基礎材料である光学活性アルコール類の実用的な大量供給法の開拓が強く望まれる。本研究者らはこのような現状に鑑み、軸性C_2キラリティーをもちビス(トリアリール)ホスフィン構造を有する2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(BINAP)を新座配位子とするルテニウム二価錯体触媒のケトン類に対する不斉水素化機能に着目して、光学活性二級アルコール類の効果的供給法を実現した。近傍に酸素、窒素、硫黄、あるいはハロゲン原子のような配位性ヘテロ原子を有する種々のプロキラルないし光学的に安定なケトン基質や二種類の官能基を有するケトン類にも適用することができる。さらにある種の光学的に不安定な基質の効率的な動的速度論分割に成功し、同時に二つの不斉炭素中心を構築する新しい型の立体選択的合成法を確立した。本法は、50%の高濃度の基質に対して僅か1000分の1から10000分の1量の錯体を用いるだけで、極めて高い不斉収率、化学収率で、R、S両鏡像体ともに認意に供給することができる。さらに、反応がクリーンかつ操作が単純であり、とくに抽出操作を必要とせず、直接蒸留あるいは結晶化により容易に生成物が単離できるので、大量スケールの反応に有用である。このように、かつて類例を見ない有効性を示すこの化学的不斉増殖法は機能性材料の光学活性基礎分子の大量生産に強力な手段を提供することは必條である。
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