研究課題/領域番号 |
04205074
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
立花 明知 京都大学, 工学部, 講師 (40135463)
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研究分担者 |
山邊 時雄 京都大学, 工学部, 教授 (80025965)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | C_<60> / 高温超伝導 / Jahn-Teller効果 / 振電相互作用 / 量子化学 / 電子間引力 / 擬回転 |
研究概要 |
アルカリ金属をドープしたフラーレンC_<60>は超伝導性を示し、その超伝導転移温度は18K〜30Kと、従来の有機超伝導体に比較して高温である。本研究では、アルカリ金属のドーピングをC_<60>分子への電子供与と見なし、C_<60>分子の3重縮退したLUMOの部分的占有により引き起こされるJahn-Teller変形、及びこれに引き続く擬回転反応座標を求め、これらに付随して生じる非断熱振電相互作用が超伝導電子対を形成する可能性を論じた。C_<60>分子はIh対称性を有し、電子対付着によりIhの部分群であるD_5d、D_3d、D_2h対称性を有する変形構造をMNDO法により求めたところ、C_5d対称のものが最安定であり、2電子親和力は56.2Kcal/molと極めて大きく、C_<60>分子上での電子対存在確率が大きいことがわかった。D_5d対称構造間の擬回転反応座標はD_2h構造を経るもので、活性化エネルギーは1Kcal/mol以下の低いものであると計算された。従って、Dynamic Jahn-Teller効果が期待され、ドープされた電子対のC_<60>上での非局在化が説明される。更に、電子をドープしたトリメチレンメタンの擬回転と比較検討した結果、C_<60>上の電子対の非局在化が、C_<60>上のトリメチレンメタン構造の協同的な擬回転によって起こるものと理解できることがわかった。これらの分子構造変形を、C_<60>の基準振動に基づいて解析したところ、C_<60>分子表面に垂直な変位ベクトルを有する低波数のHg(2)モード、及びC_<60>分子表面に接する変位ベクトルを有する高波数のHg(7)、Hg(8)モードの寄付が大きいと計算された。非断熱振電相互作用を、C_<60>のLUMOに存在する電子対に関して計算したところ、高波数のHg(7)、Hg(8)モードとのカップリングが大きく寄与することがわかり、さらに、電子対間に大きな引力的相互作用がもたらされることが結論された。
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