研究課題/領域番号 |
04205081
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山内 淳 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10027071)
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研究分担者 |
竹田 和義 九州大学, 工学部, 助教授 (10029548)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1992年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 有機ラジカル / 圧力依存性 / 有機磁性体 / スピン間相互作用 |
研究概要 |
これまでの有機ラジカルの磁性発現の研究から介電子の局在系あるいは非局在系の特徴が明らかにされてきたが、当研究ではそれらの磁気特性を圧力パラメータを変化させることによって調べている。加圧下の磁気特性の測定は、測定温度が極低温度領域であることも関係して困難であり、その方法論的確立にかかわる開発研究にも重点がおかれている。ここでは実験手段の改良に関する成果により、えられた実験データの実績について述べる。また、新たに測定した試料はトリフェニルフェルダジルであるが、これまでの結果をふまえて、圧力制御による分子間相互作用と機能発現について概要する。まず、有機ラジカルの磁性は圧力により大きく変化する。特に無機化合物磁性体と比較しその影響は著しい。磁気転移温度の圧力勾配は無機化合物磁性体の一桁あるいは50%程度大きいことが判明した。特に低次元性の著しい局在スピン系で顕著であった。これを分子間相互作用の変化になおしてみると、低次元性の一次元鎖の方向での分子間相互作用より鎖間方向の分子間相互作用の方が圧力に対して影響を受けやすいことが明らかになった。このため無機磁性体にみられない機能発現にかかわってくると思われる。いずれにしろ圧力により低次元物質から三次元磁性体への変化が結論される。また、その圧力依存性が結晶軸方向によって異なるため、無機化合物磁性体ではみられた対応状態の原理が破れていることがわかる。この結論は今研究によって初めて指摘された重要な結果であり、圧力を制御することにより、無機化合物にみられない磁気挙動が発現する可能性を示唆するものである。非局在系有機ラジカルでは常圧においてすでに広がったスピン系のため低次元磁性体といえども三次元的性格がすこし混在するため、圧力依存性は小さかったが、魚のスピン密度を有する骨格をしたラジカルでは分子面のずれに基づく新しい分子間相互作用と機能発現が期待される。
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