研究課題/領域番号 |
04205082
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小田 順一 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027041)
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研究分担者 |
加藤 博章 京都大学, 化学研究所, 助手 (90204487)
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助手 (80199075)
西岡 孝明 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80026559)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 抗体触媒 / 生成物阻害 / 不斉加水分解 / 化学修飾 |
研究概要 |
脊椎動物の免疫系が持つ高度な分子組織化を有機化学に応用し、本来は結合能しか持たない抗体に酵素のような触媒機能を与えたのが抗体触媒である。しかし、抗体が本来持っている高い親和性が逆に生成物阻害という不可避な問題を引き起こしている。そこで、本研究者はまずエステルを不斉加水分解する抗体触媒を誘導し、生成物阻害の機構を推定することにより、生成物阻害を回避するような基質をデザインすることを目的として研究を行なった。エステルを立体選択的に加水分解する抗体触媒を誘道するため、部分構造としてエステル加水分解の遷移状態アナログとなるリン酸エステルおよび不斉中心を持つハプテンの合成を行なった。これを免疫原として従来の方法に従ってモノクローナル抗体の誘導を行ない、ハプテンに対する結合能と加水分解活性によるスクリーニングの結果、エステル基質を立体選択的に効率良く加水分解する抗体触媒1C7を得た。しかし、この抗体1C7は加水分解の生成物であるカルボン酸によって強く阻害され、触媒活性は反応の進行にともなって著しく低下した。この抗体触媒の反応機構を調べ、生成物阻害の要因を探ることを目的として各種アミノ酸に対する化学修飾を行なったところ、抗体の結合部位あたり1残基のアルギニンが反応に関与していることが判明した。この活性アルギニン残基が負電荷を帯びた遷移状態を安定化、反応を加速するだけでなく、負電荷を持った生成物カルボン酸とも強いイオン結合を形成することで、生成物阻害を引き起こしていると推定した。そこで、反応と同時に脱炭酸し、生成物が負電荷を持たないように設計した炭酸エステルを合成した。これを基質として用いたところ、生成物による阻害はほとんど見られず、1C7は依然として高い立体選択性を維持したまま炭酸エステルを加水分解した。
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