研究概要 |
天然のシリコンは92.23%の ^<28>Si,4.67%の ^<29>Siおよび3.10%の ^<30>Siから構成されている。われわれは炭酸ガスレーザーによるSi_2F_6の赤外多光子分解を利用して、シリコンの同位体を高濃縮することを研究した。Si_2F_6の赤外多光子分解の生成物はSiF_4および白色の粉体(Si:F 1:2の組成)であり適切な照射条件のもとで ^<29>Siおよび ^<30>Siは生成物のSiF_4および白色の粉体中に濃縮され、一方 ^<28>Siは未反応のSi_2F_6中に濃縮される。すでに各同位体の濃縮度及び収量と,レーザーの照射波数,レーザーのフルエンス,Si_2F_6の圧力などとの関係を群細に調べ例えばレーザーの照射波数951.2cm^<-1>,レーザーのフルエンス0.25Jcm^<-2>,Si_2F_6の圧力2Torrの条件で生成するSiF_4中に ^<30>Siが50%近くまで濃縮されることを確認した。本研究では ^<28>Siの高濃縮にも注意を払い、レーザーの照射波数954.6cm^<-1>で未反応のSi_2F_6中に ^<28>Siが99.7%にまで高濃縮されることも確認した。続いて高出力の炭酸ガスレーザーと流通系照射装置を組み合わせ、高純度の ^<28>Siを1時間当り0.042molの速度で分離できることを実証した。さらにSi_2F_6を化学的方法で環元してSi_2H_6に変換し、このSi_2H_6の熱分解で、 ^<28>Siが高濃縮された固体シリコンを得る方法を確立している。今後の問題は、さらに分離の規模を拡大し、単結晶を製造できるほど固体シリコンを分離することである。
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