研究課題/領域番号 |
04205124
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小林 速男 東邦大学, 理学部, 教授 (60057635)
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研究分担者 |
内藤 俊雄 東邦大学, 理学部, 助手 (20227713)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1992年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 分子性超伝導体 / 分子性金属 / 有機超伝導体 / dmit / 遷移金属錯体伝導体 / M(dmit)_2 / Pd(dmit)_2 |
研究概要 |
標題のテーマにつき、我々は遷移金属錯体伝導体の開拓を行い、新しい超伝導体[(CH_3)_2(C_2H_5)_2N][Pd(dmit)_2]_2を発見し、その報告を行った。また昨年度報告した新超伝導体β-[(CH_3)_4N][Pd(dmit)_2]_2について詳しく検討を行い、温度-圧力相図を国際学会で報告した。また極く最近、協同研究者により初めての常庄の遷移金属錯体超伝導体、(EDT-TTF)[Ni(dmit)_2]が見いだされ、今春の化学会で報告される予定である。この系が常圧超伝導体の候補である事は昨秋の分子構造総合討論会で小林が述べていた事であり、我々の遷移金属錯体超伝導体の設計の基本的な考え方の妥当性を証明したものとも言えよう。 従来報告されてきた数十の分子性超伝導体の殆どはTTF類似ドナー分子を構成要素とするものであり、TTF類似ドナー分子を含まぬ純アクセプター分子性超伝導体は今年度報告した[(CH_3)_2(C_2H_5)_2N][Pd(dmit)_2]_2を含めこれ迄我々が報告した三例のみである。有機超伝導体の超伝導機構の解明の手がかりとして以前よりTTF分子骨格の振動を媒介とした機構の是非が問われてきたが、この純M(dmit)_2(M=Ni,Pd)超伝導体の存在はこの事に関して重要な情報を提供するものと期待される。転移温度は4Kで超伝導出現の臨界圧力は2.3kbarである。非常に特異的な事であるが、7kbar以上で超伝導相が抑制されると同時に金属相ではなく、絶縁相が出現する事を見いだした。この絶縁相は更に高圧を加える事により急速に抑制されていくので、今後15kbar以上の高圧領域で再び金属相が安定化し、再び超伝導相が出現する可能性はないのか今後の興味深い課題である。 この他常圧下の純アクセプター超伝導体の開発を目指して多くの閉殻カチオンをもつM(dmit)_2(M=Ni,Pb,Pt)錯体伝導体の合成を行い伝導性を調べ、構造の決定を行った。
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