研究課題/領域番号 |
04205126
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
伊藤 紘一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40008503)
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研究分担者 |
高橋 博彰 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40063622)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1992年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 表面増感ラマン分光 / フーリエ変換赤外分光 / LB膜 / スチルバゾール / 光二量化 |
研究概要 |
4-スチルバゾールと1-フェニル-4-(4-ピリジル)-1-3-ブタジエンノピリジン環に直鎖アルキル基を導入した試料(以下SおよびBとする)と全重水素化アラキジン酸(以下A)との混合物のLangmuir-Blodgett累積膜を銀およびGaAs基板上に作製し、340nm付近の紫外光照射によるSおよびBの光二量化過程を、表面増感ラマン分光法とフーリエ変換赤外反射吸収(IRRAS)法を用いて研究した。主たる研究の主眼点は、(i)SおよびBの累積膜中での配向状態とマトリックス分子であるA中での分散状態が光反応を如何に規定するか、(ii)反応にともなうLB累積膜の構造変化と生成する二量体の立体構造、(iii)光反応の速度論、(iv)基板とSおよびBとの相互作用が反応過程を如何に規定するか、などを明らかにすることである。特に、IRRAS法はこれらの点を明らかにするえで極めて有力であった。現在までに得られた結果を以下にまとめて記す。 (1)SとAの混合LB累積膜では、二量化反応は光照射約3分で完了し、混合比(S/A)1:4〜1:9の範囲で、反応率はほぼ一定で95%に達する。この結果は、25^゚CでのLB累積膜作製時にマトリックス分子中でSが相分離状態にあることを示す。 (2)反応は、二次の反応速度式に従って、照射45秒までの比較的速い過程と、それ以後の遅い過程からなる。 (3)生成する二量体には、4種類の構造が考えられるが、モデル化合物としてアルキル基にメチル基を持つ試料を合成し、各構造に特徴的なバンドを決定して、累積膜のIRRASスペクトル変化を解析し、各反応段階で生成する二量体の立体構造を明らかにした。また、反応に伴なう長鎖アルキル基の配向変化を調べ、遅い過程が初期過程で蓄積される立体的な反発エネルギーの緩和過程に対応することを示した。 (4)反応性LB累積膜と基板の間にのみからなるスペーサー層を存在させて、光反応過程を調べた。反応速度は層の厚さを増すと増大するが、その様子は基板の種類(銀とGaAa)にも依存した。光二量化は、エキシマー形成を経て進行するとされているが、この結果は基板への直接的なエネルギー伝達過程が反応過程に影響を与えることを示している。エキシマー発光スペクトルの解析結果との比較検討によって反応過程のより詳細な知見が得られることが期待される。 (5)BとAとの混合LB累積膜についても、表面増感ラマン分光法とIRRAS法を用いて調べ、340nm付近の紫外光照射で二量化反応が進行することを確かめ、現在生成物の立体構造解析を行なっている。
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