研究課題/領域番号 |
04205129
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宗像 惠 近畿大学, 理工学部, 教授 (80090942)
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研究分担者 |
前川 雅彦 近畿大学, 理工学総合研究所, 助手 (70229293)
北川 進 都立大学, 理学部, 教授 (20140303)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1992年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | tmt-TTF / 銅(1)分子集合体 / 部分酸化 / ヨウ素ドープ / stacking / 二次元構造 / 一次元無限鎖構造 |
研究概要 |
本研究ではtetrakis-(methylthio)tetrathiafulvalene(tmt-TTF)を用いることにより金属としてハロゲン化銅(I)の分子集合体を構築し、さよにヨウ素で部分酸化し高伝導性機能を付与することを目的とした。 (1)[(CuI)2(tmt-TTF)]_∞:Cuが2つのIとtmt-TTFの2つのSで架橋された一次元無限鎖構造である。Cu-S距離は2.38Aである。隣接無限鎖間の最近接S…S間距離は3.75Aであり、これはSのvan der Waals半径(3.60A)よりも若干長いが伝導経路となる可能性がある。なおtmt-TTF間のstackingは存在しない。[(CuI)_2(tmt-TTF)]_∞の固体状態での電子スペクトルは510nm付近にCuIからtmt-TTFへのCTbandを与えた。[(CuI)2(tmt-TTF)]_∞をヨウ素でドーピングした黒色粉末{[(CuI)2(tmt-TTF)]Ix}_∞の固体状態での電子スペクトルは450nmから700nmの間に幅広い吸収を与えた。この化合物のlogσ(電気伝導度)は室温で-1.7Scm^<-1>であり、これは半導体電気伝導度範囲にある。ヨウ素ドープによりドナー分子のtmt-TTFが部分酸化され、このような高い伝導性を示したと考えられる。 (2)[(CuBr)2(tmt-TTF)]_∞:Cuがtmt-TTFとBrで架橋された無限鎖構造をとっている。またCu-Cu間を1つのBrが架橋している。注目されることはCuとBrがらせん構造を形成していることである。さらにtmt-TTFがこの骨格間を架橋した二次元ネットワーク構造をとっている。 以上、ハロゲン化銅(I)を用いて分子集合体を構築するのにtmt-TTFは極めて有効な配位子であることが示された。ここで合成した [(CuI)_2(tmt-TTF)]_∞と[(CuBr)2(tmt-TTF)]_∞はTTF系配位子が直接金属に配位した初めての例である。TTF系配位子は容易に部分酸化できるため、その錯体に電気伝導性機能が付与できるという長所を有する。
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