研究課題/領域番号 |
04205133
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
岩田 博夫 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 室長 (30160120)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 異種移植 / 膵ランゲルハンス島 / アガロース / ポリスチレンスルホン酸 / マイクロカプセル / ハイブリット人工膵臓 |
研究概要 |
アガロースは生体内で安定であり、化学的にも機械的にも生体に対して不活性であり捨てがたい特性を有している。高濃度の高分子よりなるマイクロカプセル膜を作製するために種々の高分子物質をアガロースと混合させてみた。唯一ポリスチレンスルホン酸がアガロースとよく混和した。アガロース/ポリスチレンスルホン酸(PSS)よりマイクロカプセルを作製し、その異種移植への適用の可能性を検討した。単離ハムスターラ島を5%濃度のアガロースと10%濃度のPSSによりマイクロカプセル化した。さらに、マイクロカプセルからのPSSの溶出を防止するためポリカチオンのポリブレンでさらに、起炎性を低下させるためポリアニオンのコンドロイチン硫酸ナトリウムにより、順次マイクロカプセル表面にポリイオンコンプレックスを形成させた。マイクロカプセル化ラ島の移植による糖尿治療効果を判定するため、ストレプトゾトシンで糖尿病を誘発したマウスにマイクロカプセル化ラ島1000個を移植した。定期的に採血を行ない、随時血糖値を測定した。マイクロカプセル化ラ島移植後2日目には、いずれのマウスにおいても血糖値は正常化し、その後5例全例を50日以上血糖値が正常化した。現在まで、異種動物のラ島を移植した時、全ての例で10日以上血糖値が正常化した報告例は極めて稀である。新しい膜を用いたマイクロカプセルは、ラ島の異種移植を可能にすると期待を抱かせる結果である。今後、さらに移植後の日数と共に血糖値が徐々に上昇している原因を明らかにし、カプセル膜に改良を加える必要があろう。また、将来の臨床への応用を考えると犬などの大動物のモデルを用いて、ハイブリッド人工膵臓の有効性を検討する必要があろう。
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