研究分担者 |
林崎 良英 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 研究員 (70192705)
早川 純一郎 金沢大学, 医学部, 教授 (50110622)
中潟 直己 日本生物科学研究所, 第5研究部, 研究員 (30159058)
田中 亀代次 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (80144450)
小池 智 東京都臨床医学総合研究所, 微生物研究部門, 研究員 (30195630)
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研究概要 |
本研究は現代の発生工学技術を駆使して作成されたヒト疾患モデルや生物機能モデルマウスを系統化し,維持保存するとともに,新しい効率的な動物実験系の確立を目的とする。この目的に従って本年度は次のような研究成果が得られた。 1)マウス胚,未受精卵子,精子の凍結保存法の確立。種々の耐凍剤や凍結方法の検討によって,未受精卵子および精子をそれぞれ凍結した後融解し,体外受精を行い産仔を得ることに成功した。このことによって,すでに確立していた2細胞期胚や8細胞期胚の凍結保存法と併せていつでも任意の組合せの遺伝的背景をもつマウスを個体からではなく試験管内から計画的に生産する道が開かれたといえる。 2)ヒト疾患モデルマウスとして,色素性乾皮症で認められる欠損遺伝子の一つであるXPAC遺伝子欠損マウスを作ることに成功した。このマウスはアルキル化剤に対して極めて感受性が高く,細胞の性質はヒトの遺伝病のものと酷似していたが,神経症状等では異なるものであった。今後さらに検討し,紫外線や他の化学物質による疾病についても検討する価値があるものと結論された。 3)ポリオウイルス受容体遺伝子導入マウス(PVRマウス)はヒトのポリオウイルスが感染し,麻痺等の症状を呈することが示された。このマウスはカニクイザルに代るポリオワクチンの検定系になることが期待されるものとなった。 4)実験用マウスをウイルス抵抗性にする試みは,今のところ成功していない。また,導入遺伝子の挿入部位の解析を行う技術が確立した。 以上の成果は,単にそれぞれの成果として独立に評価されるのみならず,体外受精,凍結保存の組み合わせによって,大量の実験動物を計画的に用いる動物実験系が確立した点でも評価できるものと考えられる。
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