研究概要 |
本年度は野村班の班員である野本明男らが作製したポリオウイルスリセプター遺伝子DNAのトランスジェニックマウスの4系統についてPVR遺伝子DNAの染色体上の導入位置を決定した。方法は昨年度までに技術導入したin situ hybridizationならびにマイクロサテライトDNA(Research Genetics)および酵素タンパク質の遺伝子を標識遺伝子とした交配実験で行われた。交配実験ではC57BL/6JとDBA/2Jを交配相手として選んだ。結果は次の通りである。 PVR-TglはD4Mit2,D4Mit17,D4Mit12およびD4RCK1と連鎖が認められ,Mit2から動原体側へ8cMの位置に存在することが分かった。 PVR-Tg8はpPep-3(酵素),D1Mit7およびD1Mit13と連鎖が認められ,Pep-3から動原体側へ14cMの位置に存在することが分かった。 PVR-Tg5はD12Ndssll,D12Mit2およびD12Mit4と連鎖が認められNdsllから動原体側へ4cMの位置に存在することが分かった。 PVR-Tg21はD13Mitlから末端側へ38cMの位置に存在することが分かった。 以上の交配実験で得られた個々のトランスジェニックマウスにおける染色体上のPVR DNAの導入位置は,in situ hybridization法で検出された染色体上の位置と相対的に同じであった。なお,Tg21ははじめin situ hybridization法で第9染色体に存在するとされたが、その後第13染色体へ修正された。交配実験で第13染色体にマップされたことから,導入遺伝子のマッピングではin situ hybridization法と交配法の両方で行われることが望ましいことが示された。また,in situ hybridization法から連続して交配法を行うことによって,後者における実験を軽減できることも示された。
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