日本と中国産の更新世哺乳類長鼻目ゾウ科、偶蹄目シカ科化石と現生のシカ科試料について生物計測学的調査を行った。その結果1.従来、多くの種に分けられていたシカ属化石は現生のニホンシカ(C nippon)の変異の中に含まれることがはっきりした。ニホンシカがかなり古く(中期更新世)から生息していたことが分った。2.日本のオオツノシカは中国のものとは別種と考えられることがはっきりした。3.北海道の由仁町産の哺乳類化石はそれぞれMammuthus primigeniusとSinomegaceros yabeiであることが分かった。その産出年代も火山灰や泥炭の年代から約5万年前のものであり、日本産としてはもっとも古いマンモス、かつもっとも北から産出したオオツノジカであることがはっきりした。この時代に北海道と本州の間に両方向に対する大型哺乳類の移動があった可能性が高くなった。このことは山陰沖日本海の海低産マンモスは必ずしも日本海を漂流した死体から由来する必要がないことになり、本州にも分布した可能性もでてきた。またオオツノジカは同じように中国北部やシベリアには布分していないので北からの進入は考えられず津軽海峡経由で移動してきた可能性が高い。いずれの場合も当時海峡はできていた可能性が高いのでアイスブリッジを渡ったか、氷期に狭くなった海峡を泳いで渡ったと考えられる。また瀬戸内海周辺脊椎動物化石標本データベースデータベース作成した。入力レコード数は約1700で、ハードウェアはApple社Macintosh、ソフトウェアはFile Maker II(日本語版)である。この標本情報データベースはソフトウェア上で自由に検索できるだけでなく、一つ一つの標本情報がA4一枚に入るように作成されており、ハードコピーとして出力しても整理しやすいようになっている。
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