研究課題/領域番号 |
04215201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井川 駿一 北海道大学, 理学部, 助教授 (90001841)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1992年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 超臨界キセノン / 回転異性 / 分子内水素結合 / クラスター / 赤外スペクトル / 分子動力学 |
研究概要 |
1)4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(4H4M2P)、4-ヒドロキシ-2-ブタノン(4H2B)、1、2-ジブロモエタン(1、2-DBE)の赤外吸収スペクトルを、温度298K、圧力範囲0〜140barのキセノン流体中の希薄溶液として測定した。4H4M2PのOH伸縮吸収帯を解析して、分子内水素結合コンフォーマーと水素結合フリーコンフォマーの二つの回転異性体間の部分モル体積差を求めた。次に、溶液の揺らぎ理論に従って部分モル体積差から回転異性体間のクラスターサイズ差を見積った。その結果、クラスターサイズ差は298Kでキセノンの圧縮率が最大となる67bar付近で最大となり、水素結合フリーコンフォマーが水素結合コンフォーマーより、平均6.5個多くのキセノンに囲まれていることが分かった。 2)部分モル体積差とOH伸縮振動バンドのピーク波数を圧力に対してプロットすると、通常の溶液中とは異なり、共に直線から著しく外れるが、それら二つの物理量の間には良い直線関係のあることが分かった。このことは、回転異性化とバンドシフトの両方の対するクラスター形成の効果が矛盾なく調和して観測されていることを示す。 3)分子の回転異性化に対するキセノンのクラスター形成の効果を分子論的に調べるために、キセノン(841個)+4H4M2P(1個)のモデル系について分子動力学計算を行なった。実験条件70barに相当する密度と温度で平衡に達した後、時間ステップ1fsで200psまで計算した。しかし、二つの回転異性体のクラスターサイズは共に負となり、更に、クラスターサイズ差の70barにおける実験値3.5を再現することができなかった。これは超臨界状態のキセノンと溶質との間の相互作用を表わすのに、通常の動力学用のポテンシャルでは不十分であることを示している。現在、この相互作用項の検討中である。
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