研究課題/領域番号 |
04215210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (00152455)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | パラジウム / 白金 / 水素結合 / アルコキシド / 配位子置換反応 |
研究概要 |
ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウムでフッ素置換アルコキシド錯体を多数合成した。これらの錯体に等モル量のアルコールを加えるとアルコキシド配位子とアルコールとの間にO-H…O水素結合をもつ金属錯体ー有機分子会合体が生成した。会合体の単結晶X線構造解析をおこない、配位結合及び水素結合の関連する結合距離、角度を決定した。水素結合をもつO…O,O…H原子間距離はいずれの会合体でも2.6Å及び1.6Åであり、相当する距離として妥当なものであった。 合会平衡についてカロリメトリー測定をおこなったところ、白金のフッ素置換アルコキシド錯体では標準エンタルピーは-5.2kal/molとなり、溶液中での水素結合が強いことが明らかになった。また熱力学的パラメーターの値は別途おこなったNMR測定の結果とよい一致をみせた。上記会合体のH-NMRスペクトルで会合アルコールのOH水素は12-9ppmという低磁場位置に観測された。また低温(〜-40℃)のスペクトルではアルコキシド配位子のシグナルと会合アルコールのシグナルとが異なる位置にあらわれたが、両シグナルは室温付近でコアレスし、NMRタイムスケーで交換することがわかった。この実験事実は錯体触媒反応の素過程として重要なアルコキシド配位子の置換反応の機構が会合的であり、かつ水素結合による会合体を中間体とすることを強く示唆するものである。本研究による水素結合を介した会合的なアルコキシド基交換反応機構がはじめて証明された。また、この知見を錯体触媒によるトランスエステル化反応の開発へ応用した。
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