粒径100〜200μmの石英砂と金属鉄粒子を各々重量比47.5%、粒末エポキシ樹脂を5%混合した未固結試料を標的とした衝突実験を行なった。衝突速度は、約1100m毎秒であった。 衝撃波の圧密によりクレーター底直下に形成された塊を回収し、液体エポキシにより固化した後切断した。その断面を走査型電子顕微鏡で撮影し、組織の観察を行うと共に金属鉄/珪酸塩比を求め、実験前の混合粒末との比較をおこなった。その解析から以下の結果が得られた: 1.衝突後のサンプル中では、石英粒子は殆ど変形・破壊を受けていないのに対して、金属鉄粒子は衝突方向と垂直な方向に著しく伸長されていて、顕著な異方性を示していた。この結果は、このような石英/金属性比が1の混合物でも、衝撃に対する変形は金属鉄部分が支配おり、全体としての衝突に対する性質も、純粋な金属の場合の延性的性質の近いことを示唆している。 2.金属鉄/石英の比が衝突前のサンプルの0.37から、回収された塊では0.42へと増加した。しかし、衝突時に鉄の選択的濃集が起こると結論するためにはデータ数が少な過ぎ、されに実験を継続する必要がある。 本研究でで使用した金属性/珪酸塩鉱物の混合物は、微惑星の実体に近いものであると考えられている。従って、本県究の成果は未だに予備的なものであるがゐ均質集積か非均質集積かといった地球中心核形成機構の問題のみならず、微惑星の衝突合体による原始惑星の形成過程全体の解明に、大きな貢献をすることが期待される。
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