研究概要 |
1.平成2年度・3年度・4年度にわたって実施された重点領域研究“有機典型元素化合物の異常原子価"(略称:有機異常原子価)の成果を計画班員32名,公募班員37名,合計69名の全班員から英文として取りまとめ,平成5年10月に“Unusual Valency and Property of Organic Compounds of Main Group Elements"(A4版,445頁,200部)を製作し,報告書とした。上記報告書を班員・関係する国内の研究者及び機関,関連する外国人研究者(30名)に配布した。 2.第7回公開シンポジウムを平成5年10月4日(月)・5日(火)に日本化学会ホールで開催した。各班から4名の講演者を選び,3年間の成果をまとめて報告すると同時に今後に残された問題点と発展の方向について討論した。 3.超原子価をもつ高周期典型元素化合物が多種類の元素について安定に単離されたり中間体として確認され,その一般性が確認された。さらに5配位化合物は基本的に三方両錐構造をとり,6配位化合物は八面体構造をとることが明らかにされた。これら化合物の反応性は置換基の転位・リガンドカップリング・酸化的付加等において有機遷移金属化合物の反応性と類似性があることも明らかになってきた。本研究により有機典型元素化合物の化学という新規な化学の領域の基礎は確立し得たと考えられる。
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