研究課題/領域番号 |
04217222
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三吉 克彦 広島大学, 理学部, 教授 (60033924)
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研究分担者 |
水田 勉 広島大学, 理学部, 助手 (70221603)
中沢 浩 広島大学, 理学部, 助教授 (00172297)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1992年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | メタラホスホラン / 鉄ホスホラン / 異常原子価結合 / 求核攻撃 / 転位反応 |
研究概要 |
遷移金属フラグメントを置換基とするホスホラン(メタラホスホラン)は現在までに幾つか合成されてはいるが、その数は非常に限られており、未開拓の分野である。本重点領域研究で我々はメタラホスホランを経由する興味ある反応について研究を行ってきたが、本年度は鉄ホスホラン錯体の全く新しい合成法の開発に成功した。 p(oph)_3を配位子とする鉄の陽イオン錯体[Cp(CO)_2Fe{P(OPh)_3}]PF_6にo-HOC_6H_4NH_2とn-BuLiを-60℃で混合したTHF溶液を反応させることにより、鉄ホスホラン錯体[Cp(CO)_2Fe{P(o-OC_6H_4NH)_2}]を黄色粉末として単離することができた。この反応はo-HOC_6H_4NH2とn-BuLiとの反応により生成するアミノフェノキシドが出発錯体のリン原子を求核的に攻撃してまず鉄ホスホラン錯体が生成し、その後OPh^-の脱離、続いてNH_2基の脱プロトン化、そして生成したアミド基によるリン原子の求核攻撃を繰り返して最終生成物に至ったものと思われる。 この反応は遷移金属に配位した3価のリン原子へOR^-やNR^<-/2>が直接的求核攻撃することにより最終的に5価にホスホランが生成するというこれまでにない興味深い合成法がある。生成した鉄ホスホラン錯体において、リン原子は異常原子価結合をもち、2つの酸素原子がアピカル位を占める三方両錐構造をとっているものと思われる。また、室温ではリン原子周りでBerryの擬回転を起こしてないことが明らかになった。 今回合成した鉄ホスホラン錯体はHP(o-OC_6H_4NH)_2とn-BuLiとの反応溶液にCp(CO)_2FeCIを反応させることによっても合成できることを見いだした。この反応においてはN上のHがn-Buliにより引き抜かれ、その後鉄錯体との反応により、PからNへの水素の転位を伴ってFe-P結合が生成することも明らかにすることができた。
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