研究概要 |
ヘキサフルオロクミルアルコール,C_6H_5・C(CF_3)_2・OH(Lと略記)は、超原子価の典型元素化合物を安定化させる二座配位子として有名である。この配位子とアンチモン原子との結合を明らかにすることを目的として研究を行った。^<121>sbメスバウアー分光法に加えて^<127>エメスバウアー分光法も併用して、興味ある知見を得ることができた。 これまでに報告されている五配位両銀アンチモン(V)化合物の^<121>Sbメスバウアースペクトルの四種子結合定数(e^2qQ)は、全て負の値であるが、陰性の配位原子3個をもつSbL_2ClとSbL_2Brにおいて、正の値を観測した。当効、ハロゲンが架橋した八面体六配位構造が推定されたが、単結晶X線構造解析から、三方両錐型で架橋塩素は存在しないことが明らかになった。そこで、電場勾配の加成則を適用して、SbL_2ClとSbL_2Brの電場勾配の符号を考えたところ、電場勾配テンリルの各軸をエクアトリアル面内で、Sb-Cl結合に垂直でSb-Cと30゚の方向にとると、メスバウアースペクトルとX線解析の結果が矛盾しないことが明らかになった。アピカル位に二つの陰性な原子をもつR_3SbI_2,Tol_2SbLI(夫々,アピアル結合はI-Sb-I,I-Sb-O)および一つしか陰性子原子をもたないR_4SbI(I-Sb-C)について、アピカルSb-I結合を^<121>Sb,^<127>Iメスバウアー分光法により調べた結果、後者で、よりイオン的になっていることが明らかになった。ph_4SbIのX線構造解析により、Sb-I結合がより長くなっていることが判明した。
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