研究分担者 |
小林 重信 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教授 (40016697)
宮原 秀夫 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90029314)
熊谷 貞俊 大阪大学, 大型計算機センター, 教授 (10093410)
児玉 慎三 大阪大学, 工学部, 教授 (50028990)
長谷川 利治 京都大学, 工学部, 教授 (40025911)
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研究概要 |
自律分散指向は,複雑にして巨大なインフラストラクチャの柔軟にして安定なシステム構築を可能ならしめるほとんど唯一の設計思想であるとわれわれは考えている.自律分散システムにおいて,各サブシステムは主として局所情報に基づき自律動作を行っているが,その設計法や実現法について研究を行った.本研究の中心となる通信機能について,自律動作はもはや当然の実現法であることから,自律的思想を既存のOSIの階層プロトコルを参照することにより各研究者の研究方針が明らかになった.具体的には,階層によらないモデルを用いた分散協調処理のモデル化とモジュールの性質について,並列実効性や実効可能性,安全性,相互依存性などのシステムの性質の検証をペトリネットや状態機械を用いて解析を行った.また,ミクロ的なモデルである遺伝的アリゴリズムの理論的解析により,プロトコルという知識の獲得を実現する分散的なアリゴリズムを提案した.さらに,計算機ネットワークであるLAN上での通信様相を比較分析し,自律分散システムが具備すべき通信機構として,現在広く利用されている通信方式であるCSMA/CD方式の改良のために新たにプロトコルを提案し,その実験的な解析を行った.また広域通信網であるインターネット上でのセキュリティプロトコル,分散システムでのネットワークの管理,およびネットワークラフィックを軽減し分散環境上で情報を有効に利用するファイル管理プロトコルを提案し,分散ネットワーク上で実装し,実験的な解析を行った.これらの諸成果により,自律分散環境での通信機能に要求されるものを明らかにし,さの実現方法について,理論的および実験的な解析手法を提案し、協調処理を保証する様々な実現法を確立した.
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