研究概要 |
本研究では、生物機能を持つモデリング要素「モデロン」を多数のCPUでも実行可能であるようなモデロン開発・実行環境を設計・試作し自律分散システムを構成し、実験を行った,すなわち,各モデロンをumixのプロセスとして実装できるようなモデロン開発・実行環境を設計した。このシステムでは,各モデロンの共通データ領域(WS)をサーバ・クライアントモデルにおけるサーバとしてモデル化し、各モデロンプロセスをクライアントとして働かせることにより、マルチCPU対応の自律分散システムを構成できる。WSはサーバであるとはいうものの、単にWSに置かれるデータの管理をしているに過ぎず、あくまでも計算の主体はモデロンであり、モデロンの自律的な行動によりシステムは構成され、また,各モデロンは自身の判断によりアクセスするWSを切り替えることができ,システムの構造をダイナミックに構成し直すこともできる。このようなモデロン開発・実行環境を利用して、いくつかの問題に対して,実際に自律分散システムの構成を行った。具体的には、(1)倉庫,ロボット,各物体をモデロンとして定義する事により、自動倉庫問題に対してタスクレベルプログラミングを試み,各モデロンの自律的な動作により、物体の格納および取り出しという二つのタスクに対するロボットの動作を生成できた。特に参照するWSを自由に切り替える事ができるモデロンの機能により複数物数の一本化などが実現されている。(2)多自由度マニピュレータの各リンクをモデロンとして構成することにより、障害物回避を含む経路計画を自律分散的に行うシステムを開発し、リンク数が変化しても、各リンクの移動計画のプログラムを変更することなく対応できることを示し、システムの柔軟性を確認した。
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