研究概要 |
紅海およびカリブ海で得られるスポンジが生産する抗ウィルス,抗ガン,抗菌性を有する海洋性アルカロイド,プチロマイカリンA(1)の活性を分子化学的に解析した。1は強い塩基性を有するグアニジン基とスペルミジン基とを有する。スペルミジン基のモデル物質として2-5を合成し,それらと1の性質をNMRスペクトル的に比較した。特に(1)NHの化学シフト,(2)NHの重水による交換速度に着目し,1は構造式で示すような陰イオンを分子内に抱き込んだ分子形をしているもと結論した。1のジフルオロアセテートはクロロフォルムなどの非極性有機溶媒に可溶である。ジフルオロアセテートの重クロロフォルム溶液を各種のアミノ酸誘導体水溶液を振ることにより,水溶液中陰イオンは重クロロフォルム中に移行することを見いだした。移行のしやすさは水溶液中の陰イオンの種類に依存し,1は対陰イオンの分子形を認識していることを明らかにした。
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