研究課題/領域番号 |
04220201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 稔 北海道大学, 理学部, 助教授 (30000855)
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研究分担者 |
舘脇 正和 北海道大学, 理学部, 教授 (50000881)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 形態形成物質 / 他感作用物質 / 緑藻 / 複合脂質 / グリセロ糖脂質 |
研究概要 |
無菌培養することによって、単細胞化して本来の葉状形成機能を失った緑藻マキヒトエグサ(<Monostroma>___- <oxyspermum>___-)に対して、正常な葉状体の回復を誘導する物質を探索した。 昨年度までの成果にふまえ複合脂質の抽出・分離に適した方法を再検討した。紅藻のアカバの新鮮藻体をジクロロメタン/メタノール/水で抽出した後に脂質を系統的に分別する溶媒分画法を行った。その結果、明らかに複合脂質分画に活性が観測された。活性を示したフラクションを種々のクロマトグラフィーで分離し数種の活性物質を得た。その構造式は種々のスペクトルデータを解析することにより推定した。 現在までに構造式が明らかになった活性物質は、6'-スルホ-α-D-キノボピラノシルジアシルグリセロール(SQDG)およびモノアシリグリセロール(SQMG)類で、SQDGとして1-パルミトイル-2-イコサペンタエノイルおよび1-パルミトイル-2-ミリストイル誘導体などがまたSQMGとして1-パルミトイル誘導体が得られた。これらに類似した化合物は以前緑藻のアナアオサから分離されている。これらの化合物では完全な葉状体の形成は見られなかったものの現在構造解明中のα-D-グルクロニルジアシルグリセロール(GDG)類はシート状の葉を再生した。 さらに、天然海水からの活性物質の分離を試みた。新鮮な海水を遠心ろ過した後に活性炭カラムに付したところ、通過した分画は活性を示さなかったが、メタノール/クロロホルムで溶出した分画は活性を示したことから形態形成物質は海水中に溶存していることが明らかとなった。 以上、30数年来「謎」であった単細胞化した緑藻マキヒトエグサの正常な葉状形成を誘導・維持する物質がある種の複合脂質であることをやっと突き止めるができ活性発現機構の解明への端緒が得られた。
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