研究概要 |
1.ドクササコよりアクロメリン酸生合成中間体と考えられるアミノ酸の単離:ドクササコにはアクロメリン酸以下にも、まだ強力な神経興奮作用物質が含まれていると考えられるため検索を続け、1__-、2__-、3__-、3個の新アミノ酸を単離した。構造はスペクトルより推定されたが、それぞれ合成して確かめた。1__-、2__-はスチゾロビニン酸、スチゾロビン酸からアンモニアによってピロンをピリドンとして夫々誘導した。3__-は2-ピリジルエタノールのトリフレートとビニルオキサゾリドンを縮合させて合成した。縮合で得た、ピリジルエチルオキサゾリドンを加水分解してオキサゾリン環を開き、生じた2級アミンを保護してからビニル基をオゾンで切断し、アルデヒドとした。これをメトキシカルボニルメチルイリドによってαβ-不飽和エステルとしたのち、塩化ニッケル存在下水素化ホウ素ナトリウム二重結合を飽和させた。オキサゾリドン環を作っていた一級アルコールを酸化して酸とし、保護基を外して3__-を得た。アクロメリン酸の生合成はスチゾロビニン酸類のピロン環がアンモニアでピリドン環に変り、これにグルタミン酸が縮合して生ずると考えられており、1__-,2__-,3__-は生合成中間体と考えられる。特に3__-はグルタミン酸が縮合してからピリドン環が最後に生成する経路を示唆し、ドーモイ酸の生合成中間体として得られているものと同類である。 2.オオワライタケの毒性分ジムノピリン:ジムノピリンはオリゴイソプレノイドのヒドロキシメチルグルタル酸(HMGA)エステルであるが、これを加水分解してHMGA部分を除いたジムノプレノールには脱分極作用が見られない。HMGAエステルであることが必須と思われる。そこでジムノプレノールのHMGA化を検討し、HMGAのβ-ラクトンが良い試薬となることを見出した。
|