研究概要 |
1.B_<12>補酵素の機能発現におけるホスホジエステル部の役割 B_<12>補酵素のヌクレオチドループのホスホジエステル部の役割を明らかにするために、ヌクレオチド部を欠くアナログであるアデノシルコビンアミド(AdoCbi)とそのメチルホスフェート(AdoCbi-PMe)を合成し、酵素系での挙動を比較した。AdoCbiは酵素との親和性が極めて低く、補酵素活性は示さず、アポ酵素によるCo-C結合の活性化も受けなかった。一方、AdoCbi-PMeは補酵素活性は示さないが、AdoCblに対して拮抗阻害作用を示した。基質存在下でアポ酵素に結合すると、Co-C結合の活性化・開裂を受け、Co(11)を含む生成物が生じた。この反応は化学量論的(1:1)に起こった。これは自殺不活性化の極端な場合と考えられ、又クレオチドループ部が反応中間体の安定化に極めて重要であることを示していめ。また、その一部をなすホスホジエステル部はB_<12>補酵素が酵素に結合する上で不可欠であり、その寄与を通じてCo-C結合の活性化と触媒回転の進行に本質的な役割を果していると結論できた。 2.ジオールデヒドラーゼ遺伝子の遺伝子構造の解析 Klebsidella oxytocaより単離したジオールデヒドラーゼ遺伝子を含むDNAの塩基配列を解析した。Open Reading Frameがコードする5個のポリペプチドの中で、分子量58,239(270残基)ポリペプチドの遺伝子を欠失させても酵素活性には影響がなかった。各ペプチドのN末端アミノ酸配列より、60,348(554残基)、24,113(224残基)、19,173(173残基)のポリペプチドが本酵素の60K、29K、15Kサブユニットにそれぞれ相当することがわかった。残りの28,071(270残基)ポリペプチドはコンポーネントF(26K)である可能性が考えられる。したがって、精製酵素のサブユニット構造は大きな前駆体ポリペプチドのプロセッシングにより生じたのではなく、生合成時から存在することが明らかとなった。
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