研究概要 |
準ぜい性材料における二次元衝撃波の形成条件の検討ならびに延性材料における断熱せん断帯の発生条件と破壊への発達機構の検討を実施し,以下の成果を得た。 1.平板材表面の部分領域に与える衝撃圧縮応力において,その強さを与える圧縮力をP(t)としたとき,入射波の負荷過程に関し,その持続時間が短く,|dP(t)/d(ct/l)|が時間の経過とともに小さくなる入射波において表面波による衝撃波の形成過程がより進行することを明らかにした。さらに入射波の除荷過程に関して,その持続時間時間が長く,|dP(t)/d(ct/l)|が時間の経過と共に大きくなる入射波において衝撃波の形成過程がより進行することを明らかにするとともに,入射波の最大圧縮力に関し,その絶対値が大きいほど,衝撃波の形成過程がより進行することを明らかにした。ここにcはマイクロクラックが形成される以行の材料における音速であり,tは時間,lは板幅である。 2.はじめに,非晶性高分子材料の一種であるポリ塩化ビニルの圧縮試験から,ひずみ速度に応じて形状記憶の回復量に違いがあることを明らかにした。そこで,この性質を利用し,衝撃せん断を受けた試験片内に生じる断熱せん断帯の温度領域に発生する温度上昇を評価した。その結果,断熱せん断帯は塑性変形がかなり進行したのち発生することを明らかにし,またそのせん断帯貫通試験片に対する記憶の回復試験結果から,せん断帯の両側それぞれにせん断帯の幅程度に変形が残留することを明らかにした。したがって,その領域においてはポリ塩化ビニルのガラス転移温度以上の約100℃以上となったと思われ,またせん断面付近に,溶融した痕跡が観察されることからせん断帯ではポリ塩化ビニルの溶融温度以上の約200℃以上になっていると推定される。
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