本研究は要するに衝撃波誘起干渉流れ場の空力加熱現象に及ぼす高温効果を行らかにする目的で、研究対象を『衝撃波の斜面への入射によって生じた非定常空力加熱現象に及ぼす高温効果』にしぼって研究を試みた。 高温効はまず、並進及び回転エネルギーに加えて振動エネルギへのエネルギ移動が現れる。これは分子の温度が高くなるために、分子を構成する原子が振動し、それにエネルギを蓄えることができるからである。本研究では、振動エネルギを考慮した場合(ここでは振動平衝)と振動エネルギを考慮しない場合について、入射衝麹波マっハ数3の垂直衝撃波が角度35度の斜面に入射する際に生じる非定常空力加熱現象について数値計算を行った。その結果、衝撃波が入射すり気体の初期温度が高い際には、振動エネルギを考慮した場合は、それを考慮しない場合と比較して、はじめの入射衝撃波による熱流束上昇が抑えられ、逆に三重点からの滑り面が斜面上に入射するところで生じる熱流束のピーク値は顕著に大きくなり、初めの熱流束のピーク値よりはるかに勝っていることが明かとなった。この傾向は初期温度が高くなるほど顕著であった。これにより、衝撃波干渉による空力加熱現象のひとつである、衝撃波の斜面への入射によって生じた非定常空力加熱現象において高温効果を考慮することが非常に重要であることが明かとなった。 本研究では、購入物品の計算スピードの制約もあって、上記のような衝撃波誘起非定常空力加熱の高温効果について数値計を行ったが、この現象に於いては上に述べたように顕著な高温効果が認められるので、工学上有意義な知見が得られたものと考える。また、高温効の研究と平行して、このような衝撃波誘起非定空力加熱現象の数値計算に及ぼす格子分解能の影響について検討を行い、その重要性を明らかにした。
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