研究課題/領域番号 |
04224105
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
新庄 輝也 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027043)
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研究分担者 |
佐藤 英行 東京都立大学, 理学部, 助教授 (80106608)
安岡 弘志 東京大学, 物性研究所, 教授 (50026027)
綱島 滋 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80023323)
本多 茂男 広島大学, 工学部, 助教授 (00034405)
高橋 研 東北大学, 工学部, 助教授 (70108471)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
38,300千円 (直接経費: 38,300千円)
1992年度: 38,300千円 (直接経費: 38,300千円)
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キーワード | 人工格子 / 磁気抵抗効果 / 熱伝導性 / 中性子回折 / NMR / 反平行磁化 / Cu / Co / Ni(Fe) |
研究概要 |
人工格子の巨大磁気抵抗効果を中心課題として総合的に研究を展開し、微視的なメカニズムの考察と、MR特性の開発に成果をあげた。本研究の特徴のひとつである非結合型人工格子においても、磁化が反平行配置をとることがスピン依存散乱の原因であることが中性子回折の結果から明らかになった。一方メスバウアー分光法からは磁性層の界面が検討され、界面がスムーズである場合の方がMR比は大きくなることがわかった。Co層についてはNMRによって検討が進められており、やはり界面がある程度シャープであることが巨大MR効果の必要条件であることが認められた。実用に結びつく特性は低い磁場中で大きなMR変化が現われることを要求しており、この目的に対しては非結合型では非磁性層を薄くすること、結合型では磁性層の抗磁力を小さくすることが有効である。結合型の場合は、磁性層としてNi-Fe-Co合金層を利用することによってかなり低磁場中のMR比を増加させることに成功した。 磁気構造の違いは電気抵抗ばかりではなく、熱起電力や熱伝導性にも大きな変化が作り出されることが観測された。特に熱伝導性については世界で初めての報告であり、注目を集めている。すなわち、ガラス基板上に作製したCu/Co/Cu/Ni(Fe)人工格子の熱伝導度を測定すると、磁場を加えて磁化を反平行にした場合に、強磁場によって平行にした場合より約40%大きな熱伝導抵抗を示すことを見出した。熱伝導と電気伝導に対して磁場効果が同程度であるということはスピン依存散乱において電子は大きな角度の散乱をうけていることを意味し、散乱のメカニズムに対するひとつの情報が得られた。熱伝導変化が弱い磁場で変化する事実は、人工格子では磁場変化を熱伝導変化に転換したり、熱伝導性を磁場で制御できる新物質の誕生を意味するものであり、人工物質によって新しい物性を発現させた成功例として評価できる。
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