研究課題/領域番号 |
04224204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水林 博 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (40114136)
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研究分担者 |
谷本 久典 筑波大学, 物質工学系, 助手 (70222122)
奥田 重雄 筑波大学, 物質工学系, 教授 (50111365)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 金属人工格子 / Ag / Pd / 超弾性率効果 / ヤング率 / Al薄膜 / Ag薄膜 |
研究概要 |
マグネトロンスパッタ法で作成したAg/Pd人工格子のヤング率Eを変調周期λ=1.5〜11nmについて調べ以下の結果を得た。λ26nmではEはバルク材のヤング率Ebと良い一致を示す。λ<6nmでは、Eはλの減少に伴い増大する一般的傾向を示し、これに重畳してλ=2.1および2.8nmを中心に2Ebを越す顕著な増大を示すがその中間のλ=2.3nmでは微増に留まる。これらの試料の内Eの増大が大きい(以下,大E=1.8Eb),中程度(中E=1.6Eb),小さい(小E=1.2Eb)の各試料について焼鈍効果を調べた。小E試料のEは焼鈍温度の上昇と共に単調に低下し、試料は合金化していた。大E試料では焼鈍温度の上昇に伴いEは一旦増大した後低下に転じるが805K昇温後も1.6Ebに留まり、試料の合金化率も30%程度に留まっていた。中E試料はこれらの中間である。すなわち、焼鈍温度の上昇に伴いEは一旦増大するが780K昇温度はEbになり、試料は合金化していた。以上の焼鈍実験の結果は、Ag/Pd人工格子で観測される超弾性率効果は同人工格子の本質的物性を反映したものであること、また顕著な超弾性率効果を示す試料では金属原子の拡散速度が低下していることを示唆している。観測されたEのλ依存性をこれまでに報告されている2軸弾性率Yや弾性定数C_<55>の結果と比較すると、複数個の弾性定数がλ=2.3nmを中心にして大きく増大していることが推測されるが、それらを同定するにはまだデーターが不足している。また、人工格子と単層薄膜の差異を調べる目的でAlおよびAg薄膜について研究を進め、これらの単層薄膜では全厚dが減少するとヤング率はバルクでの値から単調に低下することを見い出した。この結果は、前述した超弾性率効果が人工格子に特有な現象であることを示唆する。
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