研究概要 |
金属多属膜の層内と環介相構造とその乱れ及び、その固相反応による非晶質化について研究をすすめてきた。測定手段は摂動角相関法(TDPAC)及び、低速陽電子ビーム法を主に使用した。試料は高周波マグネトロンスパッター法により作成し、数種類の金属多層膜Cu-Hf(Cu27ÅHf28Å,Cu54ÅHf56Å,Cu228ÅHf218Å,Cu1000ÅHf1000Å)を順備した。試料の一部はTDPACの測定のため、日本原子力研究所東海研JRR-4にて、熱中性子によりHf)81を試料内に導入した。λ〜440Å及び、λ〜2000Åの金属多層膜Cu-Hfについて、X線回折により、〜400℃において、固相反応により非晶質化することが見い出された。これらの金属多層膜について、室温ではHfとCuはそれぞれ(002)と(111)面に対し垂直方向に成長することが観測された。X線回折ではHfはC軸方向に若干拡っているようであったが、非常に興味深いのはTDPAC測定により多層膜中のHfはhcPHf金属構造と異なることである。層内のHf原子核周辺のEFG(Vzz)は、C軸方向でhcPHf金属に比較して高い値を示している。これは層内のHfについてはC軸方向に強い変位が存在していることがわかる。これらの金属多層膜Cu-Hfについて、低速陽電子ビーム法によりその欠陥分布を測定した。非常に興味深い点は層内のHfは非常に多くの微小室孔型格子欠陥を含み、熱活性化された陽電子はほとんどそれらの格子欠陥にトラップし、拡敬できないことである。また多層膜中のHfには、境界相に薄い酸化物相が存在することもわかった。
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