研究課題/領域番号 |
04225203
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
荻野 博 東北大学, 理学部, 教授 (00004292)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | キュバン型クラスター / キラル / ジアステレオトピック / 動的挙動 / 鉄-硫黄クラスター / 全線形解析 / ルテニウム-琉黄クラスター |
研究概要 |
我々は2つのシクロペンタジエニル配位子と2つのジチオレン配位子を同時に持つ混合配位子鉄ー硫黄キュバン型クラスターの合成に成功したが、このクラスターは、キラルな鉄ー硫黄骨格を持つ。そこで本研究ではー置換シクロペンタジエニル配位子(Cp^*)を持つ同様なクラスターを合成し、Cp^*上のジアステレオトピックなプロトンをプローブとして ^1H NMRスペクトラルの測定によって、鉄ー硫黄骨格の動的挙動を観測した。まず、Cp^*としてMeCp、ButCpを持つ鉄カルボニル二核錯体と硫黄およびアルキン(PhC≡CPh、p-MeC_6H_4C≡CC_6H_4(p-Me)、p-ButC_6H_4C≡CC_6H_4(p-But))との反応より、6種の鉄ー硫黄クラスターを比較的よい収率で合成した。次に温度可変 ^1H NMRスペクトラルを測定し、鉄ー硫黄骨格の光学異性体間で相互変換であることを確認した。コンピュータープログラムDNMR3を用いたスペクトラルの全線形解析により、熱力学的パラメータームを決定した。この結果、この変換が協奏的に進行することを明らかにすることができた。また、ジチオレンのアリール基上におけるMe、Butのシグナルにも温度依存性が見られた。同様な解析を行ったところ、結合の開裂を伴わないジチオレン配位子の回転もNMRタイムスケールで独立に起きていることがわかった。 上記クラスターの合成を鉄と同族のルテニウムに拡張することを試みた。すなわち、ペンタメチルシクロペンタジエニル配位子(Cp')を持つルテニウムカルボニル二核錯体と硫黄およびジフェニルアセチレンとその熱反応を行った。この結果、混合配位子ルテニウムー硫黄クラスターCp'_2(Ph_2C_2S_2) _2Ru_4S_5を初めて合成することに成功した。また、そのサイクリックボルタモグラムの測定からこのクラスターが-2価から+2価まで可逆的に1電子ずつ酸化還元を受けることを明らかにした。
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