研究課題/領域番号 |
04225228
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
谷口 功 熊本大学, 工学部, 教授 (90112391)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 分子機能電極 / 酸化インジュウム / フェレドキシン / メディエイター / ミオグロビン / 変異分子 / 酵素触媒電極反応 / 生物電気化学的分子変換 |
研究概要 |
本研究では、金属タンパク質の電子移動制御が可能な機能性修飾電極を開発し、金属タンパク質の特異な機能を解明するとともに、生体分子を用いた精密化学反応への展開を計ることを目的としている。本年度の研究成果の要点は、以下のとおりである。 1)光合成系電子伝達タンパク質フェレドキシン(Fd)の電極反応について、In_2O_3やカーボン電極を用いて、例えば、ポリ-L-リジンやポリ-L-オルニチンなどのカチオン性ポリペプチド存在下で、5x10^<-3>cm/s以上の速い直接電子移動が達成された。また、起源の異なるFdや発生学的に保存されたアミノ酸を位置選択的に置換したFdの変異分子について、その電極反応を検討した結果、光合成型のFdIと非光合成型のFdIIIでは、酸化還元電位は前者が約80mV卑な電位にあることが明らかになった。さらに、セリン39やセリン46などをそれぞれアラニン、スレオニン、およびヒスチジン、アスパラギン、アラニンなどに置換したFd変異種の酸化還化電位は、互いに数10mV変化し、この変化は対応する酵素反応における電子伝達反応活性と良い相関を示した。 また、Fdの電極反応を制御し、生物電気化学的な精密合成化学反応が可能であることを示した。 2)ホウレン草由来のFdをメディエイターとした異化型亞硝酸還元酵素および異化型硝酸還元酵素との反応では、Fdからこれらの酵素への電子伝達効率は低く、Fdが生理学的電子伝達媒体である同化型酵素の場合とは趣を異にすることが示された。 3)馬心筋由来おらびクジラ筋肉由来のミオグロビン(Md)は、等電点(pI)は、それぞれ6.8および8.25と異なるが、In_2O_3電極上で、両者ともpH6.5最大の不均一電子移動速度定数を示した。このpH依存性は、2つの起源の異なるMbのヘムの近傍の構造が互いに良く似ていることから、タンパン質の電子移動速度は、全体電荷に基ずくpIよりも電子移動と直接関連した局部構造が重要となる1例として興路深い。この種の電気化学測定法は、起源の異なるMbやMb変異分子についても適用可能であった。
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