研究課題/領域番号 |
04226206
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 研一 名古屋大学, 人間情報学研究科, 教授 (80110823)
|
研究期間 (年度) |
1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | DNA / ポリアクリルアミド(PAAm)鎖 / ゲル電気泳動 / ポリエチレングリコール(PEG) / コイル状態 / グロビュール状態 / 一次相転移 |
研究概要 |
DNA分子は本来、柔軟な動的構造をとっているため、その機能を研究するためには溶液中の分子構造及び形態変化を知る必要がある。本研究において、申請者らは蛍光顕微鏡を用いて個々のDNA分子を直接観察し、その分子形態や挙動を定量的に解析する手法の確立およびその応用研究を中心に行ってきた。 本年度に得られた主な成果を以下に紹介したい。 1)DNAにインターカレーションする残基をもつ分成高分子とDNAとの複合体の構造解析を行った。この複合体は、DNA存在下でインターカレーターモノマーとアクリルアミドとの共重合によって生成したもので、DNAにボリアクリルアミド(PAAm)鎖がグラフトした構造をとっていると考えられている。この複合体のゲル電気泳動下での挙動を直接観察した結果、nativeDNAに比ベて泳動速度が全体的に遅いこと、重合度の不均一さに起因すると思われる泳動速度のばらつきが見られたことなど、DNAが凝集しているのではなん、個々のDNA分子の周囲にPAAm鎖が結合している構造を支持する結果が得られた。 2)ポリエチレングリコール(PEG)水溶液中で、溶媒の組成を変化させることによりDNA分子が広がった状態(コイル)から収縮した状態(グロビュール)に一次相転移する現象を見い出した。種々のPEG濃度で、DNAの蛍光像から分子の広がりを直接測定し、その分布を調べた。その結果、低濃度領域でコイル状態をとっているDNAが、ある特定の濃度以上で著しく収縮し、グロービュール状態に転移することが分わかった。T4DNAでは、グロビュール状態における平均の広がり(長軸の長さ)は、コイル状態の1/5程度であった。この転移が起こる濃度以上では、すべての分子がグロビュール状態になった。PEG水溶液は、細胞質中の環境変化の試験管レべルどのモデルとなっていると考えられる。このような、DNAの形態の相転移現象は、複製や遺伝子発現のメカニズムと関わっている可能性もあり、極めて興味深い。
|